「鉱物|ニッケル」


「ニッケル」
スウェーデンの化学者で鉱物学者であるアクセル・クロンステットが1751年にクックフェルニッケル(Kupfernickel)から金属の抽出に成功し単体分離したのが最初だと云われてます
クックフェルニッケルから精錬された金属は銅とは全く異なり酸に溶かすと緑色を示し空気中で熱すると黒色の粉に変わり非常に固くてもろい性質を持ってました

「ニッケルの名称」
ニッケル鉱石が銅鉱石に似ていながら銅を分離できないことからドイツ語でKupfernickel(悪魔の銅・魔法にかけられた銅色の鉱石)と呼ばれていたことにちなみKupfer(銅)を除いてnickelとしたものです

ニッケルは天然に存在し光沢のある銀白色をした金属元素です
地球上で5番目に豊富な元素であり多くの地域で地殻から産出します
しかしニッケルのほとんどは地球の中心部の手の届かない所にあります

「ニッケル|基本物性」
(1)元素記号 Ni
(2)英語表記 Nickel
(3)原始番号 28
(4)原子量 58.69
(5)融点 1453℃
(6)沸点 3287℃
(7)密度 8.902g/cm3

ニッケルは植物の健全な成長にとっても不可欠の物質です
そのためほとんどの野菜・果物・ナッツ類に自然状態で含まれておりこれらの素材から作った食品はたとえばチョコレートやワインにも含まれてます

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「隕鉄」
鉄器文明は人類が隕鉄を手にした時から始まったと云われてます
隕鉄は星の爆発や衝突などで生じたもののうち鉄を主成分とするものが地球に飛来してきたものでその大部分は地球の大気圏に突入した際に大気との摩擦で消滅してしまうため地球に到達するのはごくわずかな数とだと云われてます

隕鉄は以下のような種類に分類できます

(1)ニッケル含有率が非常に高い
アタキサイト:Ni12%以上

(2)落下例の比率が高くニッケル分も多い
オクタヘドライト:Ni6%~16%以上

(3)ニッケル分の少ない
キサヘドライト:Ni4~6%

これまでに発見された古代の鉄製品を化学分析するとニッケルを多量に含んでいるものがありこれらは隕鉄を素材として鍛造加工されたものと推測されてます
こうした隕鉄製品の中でもっとも古いものにエジプト先王朝代のゼルゲの墓から出土した鉄の首飾りがありこれにはニッケルが多く含まれていると云われてます

「その他」
ニッケルがそれぞれ含まれておりこれらはいずれも紀元前2000~3000年頃まで遡る古いものです
イラク・ウル遺跡の508号墳で出土の短剣に10.9%
トルコ・アラジャホユクのA号墳で出土のピンに3.44%・C号墳の飾板に3.06%

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日本に到達した「隕鉄」
(1)田上隕鉄(滋賀県大津市田上山)重量171kg
(2)白萩隕鉄(富山県中新川郡上市川町上市川上流:かつての白萩村)22.7kg:明治23年
明治31年岡吉国宗によって鍛刀され大正天皇の佩刀となり流星刀と銘文される
(3)第二白萩隕鉄(富山県中新川郡上市川町上市川上流切理谷)10kg:明治38年
(4)天童隕鉄(山形県)10kg
(5)岡野隕鉄(兵庫県)4kg
(6)坂内隕鉄(岐阜県)4kg

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「隕鉄の加工」
地球に飛来する隕鉄は大気圏に突入時にガスの影響と空気抵抗による高熱にさらされます
このため隕鉄内部のガスホールに不純物が生成されます
また比較的にリンの含有量の多いものは(0.1~0.2%位)鍛造加工時に割れを発生することがあります
リンが極度に多い隕鉄の場合は鍛造による加工は不可能だと云われてます

隕鉄を原料に鍛造加工された製品の表面には針状の三角や四角形を押しつぶしたような美しいウィドマンスッテテン組織が肌全体に顕れます
隕鉄の場合は含有炭素の量が極めて低く硬度という観点から見ると極軟鋼の部類に入り焼き入れによる硬化は望めませんでした

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「人類が最初に出会った鉄」
人類が最初に発見した鉄は宇宙から飛来した隕鉄であったという説があり古代エジプト人などは鉄は天から来るものだと考えていた云われてます
古代エジプトや中国の遺跡からは隕鉄を鍛造した鉄片がいくつも出土してます
隕鉄であることがわかるのはウィドマンステッテン組織と呼ばれる特有の金属組織がみられるからです
隕鉄は鉄・ニッケル合金でありウィドマンステッテン組織が出来るには最低700℃以上からゆっくり冷やす必要があります
真空上で温度が約1℃下がるには約100万年を要するため計算すると最低でも7億年という冷却過程を必要とするので人工的にはつくれません
人工的に作れたとしたら古代人は想像を絶する技術を有していたことになります

「隕鉄の武具」
隕鉄は霊的な力を秘めていると信じられ様々なものに用いられました
隕石を御神体にしているところは多くツタンカーメンの王墓からは隕鉄剣が出土してます
マレーシア辺りにはクリスという儀礼用の隕鉄剣が存在してます
日本では隕鉄を星鉄・隕星・天降鉄などと呼び霊的な力が備わった鉄と信じられてきました
天叢雲も隕鉄で鍛えられたと云う説もあります

富山県に落下した隕鉄から当時の農商務大臣榎本武揚氏が刀工の岡吉国宗に依頼して出雲の玉鋼:隕鉄=3:7で長刀2振・短刀3振の合計5振の刀を製作して長刀1振を時の皇太子(後の大正天皇)に献上した話は有名です
現在長刀1振・短刀の2振のみ現存して流星刀と名づけられてます

「日本刀」
隕鉄は自然鉄や還元法によって作られた人工鉄とはまったく違った性質を持ってます
自然鉄は粘り強いがかなり柔らかいです
隕鉄は多量に含まれるニッケルが組織を硬くしてます
人工鉄は数%以下の炭素を含み熱処理によって硬さや粘さを調整できます

隕鉄は炭素分が10ppm以下と少ないため熱間加工後も生のままの性質が保たれます
日本刀の刃に焼きが入りません

1836年にナミビアで発見されたギボン隕石で1994年に日本刀を作った刀匠の法華三郎は表面は柔らかくて簡単に砥石(切断ディスク)が入ったが途中から硬くなって砥石の方が変形したと云われてます
銑鉄でもないのに銑鉄のような火花が飛びとても不思議な鉄だと言及されてます
隕鉄で日本刀を作成する場合は通常のやり方ではボロボロになりまったく使い物にならなかったと云われてます
炎の色を見て適温を感じ取り成功させたと云われまさに熟練の技が必要となりました

「隕鉄を鍛えた刀」
ニッケルと鉄が層をつくり屋久杉の年輪のような派手な模様を形成しました
隕鉄刀には日本刀にない独特の板目肌と杢目肌が浮いて刃縁は柾目肌に出たと云われてます
切れ味など実用度に関しては焼きが入らない点から低いと云われますが玉鋼などを用いた場合は充分実用的なものになる云われてます

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