人(霊止)還りの道 – 766編

俺は汝の知つてる通り
上の役人に接近し偵羅をやつてるのだから
俺のいふことは何でもお取り上げになるのだ
汝のいふ事はお取り上げにならぬのだ
嘘でも何でも偵羅といふ肩書に対し採用して下さるのだ
俺の御機嫌を損じてみよ
汝等は横領罪とか騒擾罪とかで
万古末代この世の明りの見えぬ所へやつてしまふがそれでもよいか
首魁は死刑に処すといふ刑法を知つてるか
お恐れながらと
この俺さまの三寸の舌が動くが最後
汝の命は無いのだから
どうだ
それでも俺の意志に反対する積りか
エゝーン

どうなつと勝手にせい
善はしまひにや分るから
悪は始めは巧く行きよるが
九分九厘で化が現はれるからのう

アハツハ
それだから汝はお目出たいといふのだ
今日の制度を知つてるか
今日の世の中は紳士紳商官吏の天下だぞ
俺達もヤツパリ官吏の下を働いてる者だ
人民のクセに何をいふのだ
時勢を知らぬといつても余りぢやないか
何ほど善な事でも〇〇のする事は打つ潰してしまふのが今日の行り方だ
何ほど悪い事でも□□がすれば善となつて通るのだ
ちつと改心して天下の趨勢を考へてみたら何ふだい

ヘン番太のザマして偉さうにいふない
冷飯奴が
グヅグヅ吐すと
村内一同に同盟軍を作り
汝に冷飯を供給しない事にするぞ
何ほど官吏の下役だと威張つてをつても
糧道を絶たれちや駄目だらう
オイ
皆の連中
心配するに及ばぬから
この奴を追つ払ふて村に置かないやうにせうぢやないか

ヤア
君の説には賛成だ
一.百姓
二.神司
三.商売
四.職人
五.毘丘
六.巫子
七.乞食
八.番太
九.汚家
十.隠亡
といつて
社会の階級は自然に定まつてゐるのだ
第一に位するお百姓さまを掴まへて
番太が何をいふのだ
野良犬奴が
そんな脅し文句が怖うて
この悪の世の中に
一日だつて生活がつづけられるかい
馬鹿だなア

やかましいワイ
番太が何
それほど卑しいのだい
今日は衡平運動さへ起つてるぢやないか
衡平団の勢力を知らぬか
時勢遅れの頓馬野郎だな
今おれがヒユーと一つ笛を吹かうものなら
それこそ捕手が裏山にかくしてあるのだ
何百人といふほどやつて来て
村の奴ア一人も残らず
牢へ打ち込んでしまふのだから
それでも可いか
マゴマゴしてゐると汝たちの身辺が危ないぞ
サア笛を吹かうか
笛を吹いたが最後
汝たちの命は風前の燈火だ
テモさても憐れな者だワイ
アツハツハ

オイ
此奴ア
うつかりしてをれぬぞ
皆の中から四五人手分けして
村中の中老組を招んで来てくれ
そして各自に得物を携へて来いと言つてくれ
そして後に残つた青年は各自に鍬なり
手斧なり
鎌なり
鶴嘴なり
百姓道具を取つて用心せい
此奴の事だから
どんな事してるか分らぬから
準備をしておかなならぬからのう

鈴木慧星 SUZUKI Satose
Shamanism Consulting.

略歴経歴

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