人(霊止)還りの道 – 762編

憂き事の種類こそ変れ世の中に心やすくすむ人はなし

私が貴師の部下となつて
軍人生活をやつてをりました時には
ずゐぶん辛うございましたよ
上官からは頭を抑へられる
また少しく上官のお氣に入らうとして忠実しく働けば
同僚に憎まれる
不真面目阿諛主義の奴は抜擢されて
すぐに自分の上役となり
頭を抑へる
どうも不平で不平で
一日だつて心を安んじた事はありませぬ
そして何時強敵が襲ふて来るかも知れず
さすれば生命を的に戦はねばならず
日夜戦々恟々として月日を送りました

成程お前のいふ事は事実だ
私だつて三千の部下を引き率てをるものの
上には大主があり
また同僚もあり
部下もあり
一方に強敵を控へ征途に上る時の苦しさ
口では立派に雄健びをしてゐるものの
心の中では
ずゐぶん煩悶苦悩の種をまいたよ
そして一戦に味方は無残な最後を遂げる
又たとへ敵だといつても
無残な最後を遂げてるのを見れば胸は痛む
イヤ全く地獄修羅畜生の巷に彷徨ふやうであつた
〇〇様に助けられ
比丘となつた時の心の嬉しさ
始めて広い天地に生れたやうな思いがしたよ

将軍様は今まで結構なお役だと
私は羨んでゐましたが
ヤツパリ貴師でもさうでございましたかなア
さうすると世の中に
安心して暮す者は一人もありませぬなア

そしてお前は以前
泥棒になつてゐた時
何か愉快に感じた事はないか

ハイ
どうも軍人生活の時よりも一層苦しうございました
苦しいといつても軍人ならば毎月きまつてお手当がいただけますが
泥棒といふ奴ア
資本のいらぬボロイ商売のやうですが
朝から晩まで戦々恟々として
心を苦しめ胸を痛め
そして中々容易に収入は得られませぬ
たとへ少しの金を手に入れようとするにも
戦ひと同様命がけでございます
それにまた何時捕手が出て来るかも知れぬといふ虞れがあり
飯も酒も満足に喉を通つた事はございませぬ
愉快に感じた事はありませぬ
しかしながら誠の道に猛進し
貴師と共に聖地に参拝する途中の嬉しさ
腹も空き喉は渇き
九死一生になつた時
天与の野苺を頂いた今の喜びは
生れてから此の方
まだ味はつた事がございませぬ

人はどうしても
誠の道に苦労せなくては
神様の恵みも分らず
また飲食物の尊いことも分らぬものだ

鈴木慧星 SUZUKI Satose
Shamanism Consulting.

略歴経歴

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