「人(霊止)還りの道」694編


天地万有ことごとく
霊力体の三元を
与へて創造なし給ひ
おのおのその所を得せしめし

国の御祖の大御神
国常立の大神は
大国常立大神の
貴の御言を畏みて
大海原の中心地
黄金山下にあれまして
天地百の生物を
いと安らけく平らけく
守らせ給ひ厳かに
珍の掟を定めまし
神と人との踏みて行く
道を立てさせ給ひしが
日は行き月たち星移り
世はくれ竹のおひおひに
天足の彦や胞場姫の
醜の身霊ゆなり出でし
八岐大蛇や醜神の
いやなき業に畏くも
珍の聖地を後にして
神の仕組といひながら
大海中に浮びたる
自転倒島にかくれまし
国武彦と名を変へて
此世を忍び曙の
日の出の御代を待ち給ひ

女神とあれし瑞御霊
豊国姫の大神は
夫神の命のなやみをば
居ながら見るに忍びずと
豊葦原の中津国
メソポタミヤの山奥に
永く御身を忍びまし

五六七の御代を待ち給ふ
大国常立大神は
厳の御霊と現はれて
四方久方の天盛留向津媛
御稜威も殊に大日婁女貴
女神となりて諾冉の
二神の間に生まれし
豊国姫の大神は
神素盞嗚の大神と
現はれ給ひ天地を
おのもおのもに持ち分けて
守らせ給ふをりもあれ
魔神の猛り強くして
岩の根木根立百草の
方葉の言向ひ騒ぎ立て
豊葦原の瑞穂国
再び常世の暗となり

神素盞嗚の大神は
この惨状を如何にして
鎮めむものと村肝の
御心千々に砕かせつ
朝な夕なに憂ひまし
山河草木枯れ果てて
修羅の巷となりにけり

父とあれます伊邪那岐の
皇大神は大空ゆ
下らせ給ひて素盞嗚の
珍の御子に打ち向かひ
憂ひ歎かすの理由を
尋ね給へば瑞御霊
完全に詳細に世の状を
語らせ給ひ吾は今
母のまします月の国
罷らむものと思ひ立ち
この世の名残りに泣くなりと
答へ給へば父の神
いたく怒らせ給ひつつ
胸に涙を湛へまし
大海原に知食す
権威なければ汝が尊
根底の国に至れよと
いと厳かに宣り給ふ
千万無量の悲しみを
胸にたたへて父神は
日の若宮にかへりまし

神素盞嗚の大神は
姉大神とあれませる
厳の御霊の大日婁女
天照神の御前に
この世の名残りを告げむとて
上らせ給へば山河は
一度に動み地は揺り
八十の枉津の叫ぶ声
天にまします大神の
御許に高く響きけり

天照します大神は
この有様をみそなはし
弟神の来ませるは
必ず汚き心もて
わが神国を奪はむと
攻め寄せきたる間違ひなし
備へせよやと八百万
弓腹振り立て雄猛びし
待ち問ひ給へば素盞嗚の
瑞の御霊の大神は
言葉静かに答へらく
吾は汚し心なし
父大神の御言以て
母の御国に行かむとす
いとも親しき吾が姉に
ただ一言の暇乞ひ
告げむが為に上りしと
いはせて果てず姉神は
いと厳かに宣らすやう
汝れの心の清きこと
今この場にて証せむ
いひつつ弟素盞嗚の
神の佩かせる御剣を
御手に執らせつ安河を
中に隔てて誓約ます
この神業に素盞嗚の
神の尊は瑞御霊
清明無垢の御精神
いと明らかになりにけり
神素盞嗚の大神は
姉のまかせる美須麻琉の
玉を御手に受取りて
天の真名井に振り濺ぎ
奴那止母母由良に取由良し
狭嚼みに咬みて吹き棄つる
伊吹の狭霧に五御魂
現はれませしぞ畏けれ

姉大神の御心は
初めて疑ひ晴れぬれど
天津神たち国津神
容易に心治まらず
高天原は忽ちに
いと騒がしくなりければ
姉大神は驚きて
天の岩戸の奥深く
御姿かくし給ひけり
六合たちまち暗黒と
なりて悪神横行し
大蛇曲霊のおとなひは
狭蠅の如く充ち沸きぬ

ここに神々寄り集ひ
岩戸の前に音楽を
奏でまつりて太祝詞
宣らせ給へば大神は
再び此世にあれまして
六合ここに明け渡り
栄光の御代となり初めぬ
斯くもかしこき騒ぎをば
始めし神の罪科を
神素盞嗚の大神に
千座の置戸を負はせつつ
高天原より神退ひ
退ひ給ひし歎てさよ

天地一時は明けらけく
いと穏かに治まりし
如く表面は見えつれど
豊葦原の国々は
魔神の健び猛くして
再び修羅の八巷と
なり変りたる惨状を
見るに忍びず瑞御霊
国武彦と相共に
三五の教を開きまし
深山の奥の時鳥
八千八声の血を絞り
この土の上に安らけき
五六七の御代を建設し
八岐大蛇や醜神を
生言霊に言向けて
姉の御神に奉り
世の災を除かむと
コーカス山やウブスナの
山の尾の上に神館
見立て給ひて御教を
開き給ひし尊さよ

・・・「人(霊止)還りの道」695編へつづく


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