「人(霊止)還りの道」576編


お前さま
いつたん入の入つた瀬戸物はなにほど甘く焼つぎをしても
その疵は元の通りになほらないと同様に
元来が身魂にヒビが入つてゐるのだから
本当の善に還ることは辛うて出来ませぬぞや
お前さまの肉体だつてヤツパリさうぢやないか
入がいつてをればこそ
此方が這入れたのだ
お前さまは立派な大和魂の生粋だと思つてゐるだらうが
この金毛九尾から見れば
大和魂どころか山子だましの身魂だよ
相応の理によつて
どうしても
この悪縁は切ることは出来ませぬぞや
お前さまも是非なきことと断念して
わが身の因縁を怨めるより仕方がないぢやありませぬか
霊肉不二の関係を持つてゐる肉体と此方とが
いつもこれだけ衝突をしてつては互ひの迷惑
いな大損害ですよ
チツとはお前さまも大目に見てもらはなくちや
わしだつて
さう苛められてばかりをつても
立つ瀬がないぢやないか

この腹の黒き尉殿が一旦改心の坂を通り越し
またもや慢心と申す元の屋敷にお直り候
だな
俺も昔から金毛九尾といつて
すゐぶん悪は尽して来たのだが
腹の黒い人間の腹中は
自分が現在はいつてをりながら
分らぬものだ
いかにも人間といふものは重宝なものだなア
偽善を徹底的に遂行するには
本当に重宝な唯一無二のカラクリだ
サアはじめてお前が打ち解けてくれたのだから
今日くらゐ心地よいことはないワ
のう大蛇よ
猿よ
狸よ
蟇よ
豆よ
ほんたうに岩戸が開けたやうな氣分がするぢやないか

さうだから
この金毛九尾さまに従へといふのだ
これからお前さまの肉体をかつて
三千世界を自由自在に致すのだ
善の仮面を被り
現界の人間を片つ端から兇党界に引張り込んでしまふのだ
もはや肉体が心を打ち開けた以上は
何といつても宣直しはさせない
もしも最前の言葉に肉体が反きよつたら
お前たちはおれの命令一下と共に
そこら中を引張りまはし苦しめてやるのだよ

なに
お前の耳に内部から伝はるだけのもので
決して外部へは洩れる氣遣ひはない
お前さへ喋らなかつたら
それでいいのだ

・・・「人(霊止)還りの道」577編へつづく

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