「人(霊止)還りの道」430編


見渡す限りの枯野原
万木の梢は羽衣を脱ぎ
肌をたち切るばかりの
寒風に戦慄してゐる

独り松柏のみは蒼々たり
ヒヨやツムギや百舌鳥雀などが
悲しげな声調を搾つて
浮世の無情を訴へてゐる

吾が目に収容さるるものは
生氣の褪せた
細氷の波を敷きつめた
銀冷の世界のみだ

万有一切はあらゆる活動を休止し
いはゆる
冬籠りの最中である
かかる冷酷無残の光景を眺めて
貧しき人は何れも寒氣と飢餓に泣く
反対的に富めるものは
雪見の宴を張り
嬋妍たる美姫を招き
青楼に酒杯をかたむけ
体主霊従的歓楽にふける
社会は真に様々なものだ

冬日積雪のために
労働の機を得ず
生命の糧を求めて泣くもあれば
冷たき雪の景色をながめて
酒類にひたり
一宵千金を浪費濫用して
なほも惜しまぬものあり
顧みれば凡て社会の諸行は無常なり

因果応報の神理に暗き
現代人は科学的知識のみを漁りて
永遠の天国を知らず
また根底の国の何たるを解せず
酔生夢死無意義なる
生涯を送るあり

世間の無情冷酷を歎きて
厳寒の空にをののき慄ひつつ
面白からぬ冬日を送るもあり

人生の暗黒面は
椿の花の梢を去るごとく
ぽたりぽたりと地上に降る
悲喜交々の社会のおとづれ
人の身の四辺を包む怪しさ

・・・「人(霊止)還りの道」431編へつづく

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