「人(霊止)還りの道」427編


世の中はなんといつても
悪でなければ立つてゆかない
俺は〇〇〇〇教は悪だと知つたから氣に入つてゐるのだ
三五の御教の奴は霊主体従だと吐してゐるが
この現実世界は
物質をもつて固められてゐる
われわれの肉体だつてみな物質だ
天に輝く太陽でさへ
ヤツパリ物質だ
物質界に生きてゆかうとすれば
どうしても物質界の法則に従はねばならぬ
すべて現実界の太陽よりする自愛や世間愛は
要するに悪だ
優勝劣敗・弱肉強食は
現界の動かすべからざる真理だ
よく考へて見よ
強い獣は
弱い獣を捕つて食ひ
大魚は小魚を呑み
鷹は鵙をとり
鵙は雀を捕つて食ふぢやないか
人間だつて
四つ足をたたいては喰ひ
氣楽さうに海川を游泳してゐる魚族を捕獲し
天然を楽しんでゐる植物の実を
皮を剥いたり
こすつたり
水につけたり
重しをかけたり
熱湯の中へ入れたり
火あぶりにしたり
実に残忍きはまることをやつて
口腹を充し
それで生活を続けてゐるのだ
要するに
人間は悪の張本人だ
こんなことが悪だ
といつてやらずにをつてみよ
一日だつて生命を保つことはできぬぢやないか
それだから
たとへ素盞嗚尊が善であらうが悪であらうが
吾々の社会を建設するについて邪魔になる奴ア
たとへ善でも
悪といふ名をつけて亡ぼしてしまはなくちや
自分たちが亡ぼされていまふのだ

さうすると
人間が死んだら
みな地獄に行かねばならぬぢやないか

ヘン
地獄が聞いて呆れるワイ
地獄といへば
目のあたり現界に現はれてゐるのだ
他人の国土を占領したり
あるひは
大資本家が小資本家を押し倒したり
大地主が小地主を併呑したり
沢山の軍人を抱へて
武装的平和を高唱したりしてゐるのは
みな地獄の行り方だ
極楽なんていふ所があつてたまらうかい
勝てば官軍
敗くれば賊
といふことがあるぢやないか
最凶悪のすぐれた者が
地獄界の覇権者だ
死後の世界なんか
心配するにや及ばぬ
呑めよ騒げよ一寸先は暗だ
暗の後には月が出る
月は月ぢやが嘘ツキぢや
といふぢやないか
悪と虚偽との世の中に
誠ぢや
善ぢやと
そんな体のよい辞令を振りまはして
コツソリと偽善をやつてゐるやうな奴こそ
真の悪党者だ
そんな奴こそ
八衢代物といふのだ
あるひはこれを称して
二股膏薬といふ
ヤツパリ人間は男らしう
悪なら悪
善なら善と
輪廓を明瞭にせなくちや
人が信用してくれないぞ
悪の強い者ほど紳士紳商
英雄名士と持てはやされるのだ
善人といへば馬鹿の代名詞だ
それだから
俺は世の中を毒瓦斯で酔はしてやるつもりで
この通り
頭までテカテカに光らしてゐるのだ
たつた今
俺の親分すなはち自然界の太陽がお上がり遊ばすのだ
すべて自然界の太陽より来たる光熱は
自愛の源泉だ
利己主義の標本だ
利己主義を極端に発揮する人間を
利己(利巧)な奴といふのだ
エエーン

オイ
貴様は大変な物質主義のかぶれたものだなア
他人のためには一毛も損せずといふ
ニーチエ主義だな

きまつた事だ
ニーチエ主義だよ
日英同盟だつて
その通りぢやないか
自分とこの国が
日も三進も行かぬやうになつた時に
英考を起して
ちよつと強さうな国を番犬に使ひ
東洋はまだおろか
西洋まで警護の役を命じ
オツシオツシとケシをかけて
日々喜ばせ
モウ英といふ自分になると
今度は尻をクレツと向け
赤米といつて
米の方へ握手をし
日の方へ尻を向ける
ケツはすなはち月だ
それでツキ倒しといふのだよ
さうだから
世の中は
どうしても利己な行り方をせなくちや
たうてい駄目だ
人の褌で相撲とるのが
いはゆる外交家の手腕だ
アフンどしであいた口がすぼまらぬ
尻糞が天下を取るといふのが
混同した世界の比喩だ

ヘン
えらさうにいふものぢやないワ
あまり大きな口をあけていふものぢやないぞ
傍若無人にも程があるワイ

エーエ
善悪混淆
美醜相交はつて
現実世界が成就してゐるのだ
貴様のやうに
悪がそれほど怖ければ
元からこんなところへ首をつつこまない方が氣が利いてゐるぢやないか

・・・「人(霊止)還りの道」428編へつづく

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