人(霊止)還りの道 – 412編

これおトクさま
お前さまは花依姫の命さまぢやないかい

どうだか
しつかり知りませぬけれど
教祖さまがさう仰有るのだから
マアそれにしときまほかいなア

アハゝゝゝ
おトクさまもよつぽどお目出たいなア
鼻売姫なんて
一つよりない鼻を売つたら
後はどうするつもりだ

サア
一つの鼻を売るまでにはなかなか苦労が要りますよ
男の百人や二百人は今まで迷はして来たけれど
まだ鼻が落ちるとこまでゆきませぬからなア
この鼻をソツクリと売つてしまふまでには
三百人や五百人は手玉にとつても大丈夫ですよ
せめて千人のお客をとつたら鼻を売つてしまつても得心ですわ

サウすると
おトクさまは
お前は今まで売女をやつてゐたのだなア

コレも悪神さまの御用だからなア
仕方がないのよ
しかしモウ妾も改心したのだから
誰か一人にきめておかうかと思つてゐるのよ

四辻の小便蛸みたよなナイスを
だれが真面目に女房にするものがあらうカイ
両屏風の姉さまだからなア

おかまいツ
放つといて下さい
自由の権ですわ
源さま
お前は奥さまをどうしたのだイ

かもてくれなイ
放つといてもらひませうカイ
めつたにお前の婿にはなる氣違ひはないからなア

ホゝゝゝゝ
おかんさまにはほつとけぼりをくはされ
自分が使うてをつた僕と手に手をとつて駆落ちされ
後にシヨンボリと力をおとして十日ばかりも泣きくらし
それから弁当持ちで三年ばかり山の神の所在を探しなさつたぢやないか
それでもカラツキシお行方がわからぬのだから
氣の毒なものぢや
このごろは嬶に置去りにせられた男の代名詞を
サツパリ源助と言ひますぞや
オホゝゝゝ

アーねぶたい
ドレもう寝ようかい
アタ面白うもない
鰯のどうけん壺をかきまぜたよな匂ひのする女にひやかされとつても
ねつから氣が利かないからなア

源さま
一寸お待ち
だまつて聞いてをれば
妾を屏風だとか
鰯のどうけん壺だとか
あまりぢやないカイ
それだからお前は源助といふのだよ
ゴンボ先生はゴンボらしくしてをりさへすれば
こんな恥はさらさいでもよいのだけれど
あまり口がすぎるものだから
到頭すつぽりぬかれるのだよ

帆立貝の虐使に堪ふべく
焼酎をふいてふいて吹きさがすものだから
堤防も何にも硬ばつてゐるぢやないか

大きに憚りさま
お前のお世話にならうといふのでなし
お氣をもませましてすみませぬなア

鈴木慧星 SUZUKI Satose
Shamanism Consulting.

略歴経歴

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