「人(霊止)還りの道」681編


心頭を滅すれば
火もまた自ら涼し

涼しい秋が来た
そして何処ともなしに
もの寂しい

遠き近き四方の山野に
錦を織出した佐保姫の姿は
満目光耀として
心の駒も
いやに落付く
紅や萌黄の色のあでやかな
楓は
日夜にその美を発揮し
万丈の衣を晒すに似たり
山奥に妻呼ぶ
小男鹿の声は
偕老偕老と聞こゆれど
何となく悲調あり

小夜砧の音もまばらになりて
霜の夜を歎つか
日鶏の謳ふ声も
いとど憐れを催し
四方の田の面は
黄金の波を漂え
御代の富貴を誇りつ
鍬取りし農夫の
書入れ時期とはなりぬ

アゝ去れど
自然界の太陽は
光り益々強くして
その愛熱衰へ
秋霜烈日の輝き
斜めに万木万草を
悩ませしへたげ滅尽し了へねば
休止せない勢ひである

アゝ地上の草木は
熱に遠ざかり
光りに害はれ
枯れ朽つることありとも
夕べの虫の数々は
声をそろへて果敢なげに
世を歎くとも
尊き大神の
愛善と神熱と
温みの籠もれる
神光を十二分に与えられた
吾人はいはゆる
万物の霊長だ
天地の花だ果実だ
永遠に咲き匂ふ
天界と地上の花だ
神の生宮
天人の前身だ

否な天人の霊身と
自然界の肉身の相応神たる
吾人には
秋もなければ
冬さえも来たらない
只永遠に花咲き匂ひ
鳥謳ひ蝶舞ひ遊ぶ
春の日と
万木万草の繁り栄行く
天恵的の夏と計りだ
されば吾人は
秋も冬も苦にならない
主の神の内流的神格に
恵まれた生ける身魂たる以上は
永遠無窮に
天国地上の花だ

剣をかざして万有に迫る霜柱も
冷たき空の残月に照る恐ろしさ
吾はこの惨澹たる光景を見て
天人の白き柔らかき
温情の籠る
肌と感ずるのだ
又ピユウピユウと吹き荒ぶ
けたたましい木枯の音も
天津乙女の奏づる
笙の音とぞ聞く

アゝ面白きかな
天国の春よ
人間の世界の秋よ

・・・「人(霊止)還りの道」682編へつづく


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