「人(霊止)還りの道」671編


暗闇の一滴が
天と地との間に
ぽつたりと落ちると
暗黒の静寂が
うろたへてやつて来る

ふくれあがつた暗闇の中に
甍の波はどよみ
煙突の林は黙立し
四方の山脈は横臥し
万物は
今し
暗灰色に溶けて行く

暗闇の一つの壁から
煤けた
赤らんだ
月が顔をしかめた

月はユララユララと
ゆらめきながら
険しい雲の坂路を
昇りはじめた

しばし
やがて
悪魔が翼をひろげて
黒雲の臥床に
月を閉じ込めてしまふと
暗闇がぬけ落ちた歯の間から
ゲラゲラと笑うて
急いで地の中へ潜り込んだ

翌る朝
生温い雨が
しよぼしよぼと降つてゐた

・・・「人(霊止)還りの道」672編へつづく


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