「人(霊止)還りの道」643編


帰命頂礼謹上再拝
重ねて此の義を宣べんと欲して
偈を説いて言はく

譬へば長者
一の大宅有らむ

其の宅久しく故りて
而も復た頓弊
堂舎高く危く
柱根摧け朽ち
梁棟傾むき斜がみ
基陛潰れ毀れ
墻壁圯れ拆け
泥塗褫け落ち
覆苫乱れ墜ち
椽梠差ひ脱け
周障屈曲して
雑穢充徧せり
五百人有つて
其の中に止住す

鴟・梟・鵰・鷲・烏・鵲・鳩・鴿・蚖蛇・蝮・蠍・蜈蚣・蚰蜒・守宮・百足・鼬・貍・鼷・鼠
諸々の悪虫の輩
交横馳走す
屎尿の臭き処
不浄流れ溢ち
蛆・蜋・諸虫
而も其の上に集まれり

狐・狼・野干
咀嚼践踏なし
死屍を嚌齧ひて
骨肉狼藉し
是れに由つて羣狗
競ひ来つて搏撮し
飢羸慞惶て
処々に食を求め
闘諍
摣掣き
啀喍嘷吠ゆ

其の舎の恐怖
変状是の如し

処々に皆
魑魅魍魎有り

夜叉悪鬼
人の肉を食噉す

魑魅は山中木石の精怪
魍魎は水中に住む精怪

毒虫の属
諸々の悪禽獣
孚乳産生して
各自ら蔵し護る

夜叉競ひ来つて
争ひ取つて之れを食す

之を食すること既に飽きぬれば
悪心転た熾んにして
闘諍の声
甚だ怖畏す可し

鳩槃
荼鬼
土埵に蹲踞せり

或時は地を離るること
一尺二尺
往返遊行し
縦逸に嬉戯す

狗の両足を捉つて
撲つて声を失はしめ
脚を以て頸に加へて
狗を怖どして自ら楽しむ

復諸々の鬼有り
其の身長大に
裸形黒痩にして
常に其の中に住せり

大悪声を発して
叫び呼んで食を求む

復諸々の鬼有り
其の咽鍼の如し

復諸々の鬼有り
首牛頭の如し

或は人の肉を食し
或は復狗を噉ふ

頭髪蓬乱して
残害兇険なり
饑渇に逼められて
叫喚馳走す

夜叉餓鬼
諸々の悪鳥獣
饑急にして四に向かひ
窗牖を窺ひ看る

是の如き諸難
恐畏無量なり

是の朽ち故りたる宅は
一人に属せり

其の人近く出て
未だ久しからざるの間に
後に宅舎に
忽然火起り
四面一時に
其の焔倶に熾んなり

棟梁椽柱
爆めく声震ひ裂け
摧け折れ堕ち落ちて
墻壁崩れ倒る

諸々の鬼神等
声を揚げて大に叫び
鵰鷲諸鳥
鳩槃荼等
周慞惶怖して
自ら出づること能はず

悪獣毒虫
孔穴に蔵れ竄れ
毘舎闍鬼
亦其の中に住せり

福徳薄きが故に
火に逼められ
共に相ひ残害して
血を飲み肉を噉ふ

野干の属
並に已に前きに死す

諸々の大悪獣
競ひ来つて食噉す

臭煙蓬没して
四面に充塞す

蜈蚣蚰蜒
毒蛇の類
火に焼かれて
争ひ走つて穴を出づ

鳩槃荼鬼
随ひ取つて而も食ふ

又諸々の餓鬼
頭上に火燃へ
飢渇熱悩して周慞悶走す

其の宅是の如く
甚だ怖畏す可し

毒害火災
衆難一に非ず

是の時に宅主
門外に在つて立つて
有る人の言を聞く

汝が諸子等
先きに遊戯せるに因つて
此の宅に来入し
稚小無知にして
歓娯楽著せりと

長者聞き已つて
驚いて火宅に入る
方さに宜く救済して
焼害無から令むべし

諸子に告喩して
衆の患難を説く

悪鬼毒虫
災火蔓莚せり
衆苦次第に
相続して絶えず

毒蛇蚖蝮
及び諸々の夜叉
鳩槃荼鬼
野干狐狗
鵰鷲鵄梟
百足の属
飢渇の悩み急にして
甚だ怖畏す可し

此の苦すら処し難し
況や復大火をやと

諸子無知にして
父の誨を聞くと雖も
猶故楽著して
嬉戯すること已まず

是の時に長者
而も是の念を作さく

諸子此の如く
我が愁悩を益す

今此の舎宅は
一として楽む可き無し

而るに諸子等
嬉戯に耽湎して
我が教を受けず
将に火に害せられむとすと

即便ち思惟して
諸の方便を設けて
諸子等に告ぐ

我に種々の
珍玩の具の
妙宝の好車有り
羊車鹿車大牛の車なり

今門外に在り
汝等出で来れ
吾汝等が為に
此の車を造作せり

意の所楽に随つて
以て遊戯す可し

諸子
此の如き諸々の車を説くを聞いて
即時に奔競し
馳走して出で
空地に到つて
諸々の苦難を離る

長者子の
火宅を出づることを得て
四衢に住するを見て
師子の座に坐せり

而も自ら慶びて言はく

我今快楽なり

此の諸子等
生育すること甚だ難し

愚小無知にして
而も険宅に入れり

諸々の毒虫多く
魑魅畏る可し

大火猛焔
四面に倶に起れり

而るに此の諸子
嬉戯に貪著せり

我已に之れを救ひて
難を脱るることを得せしめたり

是の故に諸人
我今快楽なりと

爾の時に諸子
父の安坐せるを知つて
皆父の所に詣つて
而も父に白して言さく

願はくは我等に
三種の宝車を賜へ

前きに許したまふ所の如き
諸子出で来れ
当に三車を以て
汝が所欲に随ふべしと

今正さに是れ時なり
唯だ給与を垂れたまへ

長者大に富みて
庫蔵衆多なり

金銀瑠璃
硨磲瑪瑙
衆の宝物を以て
諸の大車を造れり

荘校厳飾し
周匝して欄楯あり

四面に鈴を懸け
金縄絞絡せり

真珠の羅網
其の上に張り施し
金華の諸纓
処々に垂れ下だせり
衆彩雑飾し
周匝囲繞せり

柔軟の繪絋
以て茵褥と為し
上妙の細氎
価直千億にして
鮮白浄潔なる
以て其の上に覆へり

大白牛有り
肥壮多力にして
形体姝好なり
これを以て宝車を駕せり

諸々の賓従多くして
而も之れを侍衛せり

是の妙車を以て
等しく諸子に賜ふ

諸子是の時
歓喜踊躍して
是の宝車に乗つて
四方に遊び嬉戯快楽して
自在無礙ならむが如し

舎利弗に告ぐ
我も亦是の如し
衆聖の中の尊
世間の父なり

一切衆生は
皆是れ吾子なり

深く世楽に著して
慧心有ること無し

三界は安きこと無し
猶ほ火宅の如し

衆苦充満して
甚だ怖畏す可し

常に生老
病死の憂患有り

是の如き等の火
熾然として息まず

如来は已に
三界の火宅を離れて
寂然として閑居し
林野に安処せり

今ま此の三界は
皆な是れ我が有なり

其の中の衆生は
悉く是れ吾が子なり

而も今ま此の処は
諸々の患難多し

唯我一人のみ
能く救護を為す

復た教詔すと雖も
而も信受せず
諸々の欲染に於て
貪著深きが故に

是を以て方便して
為に三乗を説き
諸々の衆生をして
三界の苦を知らしめ
出世間の道を
開示し演説す

是の諸子等
若し心決定しぬれば
三明
及び六神通を具足し
縁覚
不退の菩薩を得ること有り

汝舎利弗
我衆生の為に
此の譬喩を以て
一仏乗を説く

汝等若し能く
是の語を信受せば
一切皆当に
仏道を成ずることを得べし

是の乗は微妙にして
清浄第一なり

諸の世間に於て
為めに上有ること無し

仏の悦可したまふ所
一切衆生の
応さに称讃し
供養し
礼拝すべき所なり

無量億千の
諸力解脱
禅定智慧
及び仏の余の法あり

是の如きの乗を得せしめて
諸子等をして
日夜劫数に
常に遊戯することを得
諸々の菩薩
及び声聞衆と
此の宝乗に乗じて
直ちに道場に至らしむ

是の因縁を以て
十方に諦に求むるに
更に余乗無し
仏の方便を除く

舎利弗に告ぐ
汝諸人等は
皆な是れ吾が子なり
我は則ち是れ父なり

汝等累劫に
衆苦に焼かる

我皆な済抜して
三界を出でしむ

我先に
汝等滅度すと説くと雖も
但生死を尽くして
而も実には滅せず

今の応に作すべき所は
唯仏の智慧なり

若し菩薩有らば
是の衆の中に於て
能く一心に
諸仏の実法を聴け

諸神世尊は
方便を以てしたまふと雖も
所化の衆生は
皆な是れ菩薩なり

若し人小智にして
深く愛欲に著せる
此れ等の為の故に
苦諦を説きたまふ

衆生心喜びて
未曾有なることを得

聖者の説きたまふ苦諦は
真実にして異無し

若し衆生有つて
苦の本を知らず

深く苦の因に著して
暫くも捨つること能はず
是れ等の為の故に
方便して道を説きたまふ

諸苦の所因は
貪欲為れ本なり

若し貪欲を滅すれば
依止する所無し
諸苦を滅尽するを
第三の諦と名づく

滅諦の為の故に
道を修行す

諸の苦縛を離るるを
解脱を得と名づく

是の人何に於てか
而も解脱を得る
但虚妄を離るるを
名づけて解脱と為す

其れ実には未だ
一切の解脱を得ず

聖者是の人は
未だ実に滅度せずと説きたまふ

斬の人未だ
無上道を得ざるが故に
我が意にも
滅度に至らしめたりと欲はず

我は為れ法王
法に於て自在なり
衆生を安穏ならしめんが故に
世に現ず

汝舎利弗
我が此の法印は
世間を利益せむと
欲するが為の故に説く

所遊の方に在つて
妄りに宣伝すること勿れ

若し聞くこと有らむ者
随喜し頂受せば
当に知るべし是の人は
阿惟越致なり
不退転

若し此の経法を
信受すること有らむ者は
是の人は已に曾て
過去の仏を見たてまつつて
恭敬供養し
亦是の法を聞けるなり

若し人能く
汝が所説を信ずること有らむは
則ち為れ我を見
亦汝
及び比丘僧並びに諸の菩薩を見るなり

斬の法経は
深智の為めに説く

浅識は之を聞いて
迷惑して解らず

一切の声聞
及び辟支仏は
此の経の中に於て
力及ばざる所なり

汝舎利弗
尚ほ此の経に於ては
信を以て入ることを得たり
況や余の声聞をや

其の余の声聞も
聖語を信ずるが故に
此の経に随順す
己が智分に非ず

又舎利弗
嬌慢懈怠
我見を計する者には
此の経を説くこと莫れ

凡夫の浅識にして
深く五欲に著せるは
聞くとも解ること能はじ
亦為に説くこと勿れ

若し人信ぜずして
此の経を毀謗せば
則ち一切
世間の聖種を断ぜむ

或は復顰蹙して
而も疑惑を懐かむ
汝当に
此の人の罪報を説くを聴くべし

若しは仏の在世にもあれ
若しは滅度の後にもあれ
其れ斯の如き
経典を誹謗すること有らむ

経を読誦し
書持すること有らむ者を見て
軽賤憎嫉して
而も結恨を懐かむ

此人の罪報を
汝今復聴くべし

其人命終して
阿鼻獄に入らむ

一劫を具足して
劫尽きなば更に生れむ

是の如く展転して
無数劫に至らむ

地獄より出でば
当に畜生に堕つべし

若し狗野干としては
其の形骨痩し
黧黮疥癩にして
人に触嬈せられ
又復人に
悪賤せられむ

常に饑渇に困みて
骨肉枯竭せむ

生きては楚毒を受け
死しては瓦石を被らむ

聖種を断ずるが故に
斬の罪報を受けむ

若しは駱駝と作り
或は驢の中に生まれて
身に常に重きを負ひ
諸の杖捶を加へられむ

但水草を念うて
余は知る所無けむ

斬の経を謗ずるが故に
罪を獲ること是の如し

有ひは野干と作つて
聚落に来入せば
身体疥癩にして
又一目無からむ

諸の童子に
打擲せられ
諸の苦痛を受けて
或時は死を致さむ

此に死し已つて
更に蟒身を受けむ

其の形長大にして
五百由旬ならむ

聾騃無足にして
蜿転腹行し
諸の小虫に
唼食せられて
昼夜苦を受くるに
休息有ること無けむ

斬の経を謗ずるが故に
罪を獲ること是の如し

若し人と為る事を得ては
諸根闇鈍にして
矬陋攣躄
盲聾背傴ならむ

言説する所有らむに
人信受せず
口の気常に臭く
鬼魅に著せられむ

貧窮下賤にして
人に使はれ
多病痟痩にして
依古する所無く

人に親附すと雖も
人意に在かず

若し所得有れば
尋いで復忘失せむ

若し医道を修して
方に順じて病を治せば
更に他の疾を増し
或は復死を致さむ

若し自ら病有らば
人の救療するもの無く
設ひ良薬を服すとも
而も復増劇せむ

若しは他の反逆し
抄劫し竊盗せむ
是の如き等の罪
横さまに其の殃に罹らむ

斯の如き罪人
永く仏
衆聖の王の
説法教化したまふを見たてまつらず

斯の如き罪人は
常に難処に生まれ

狂聾心乱にして
永く法を聞かず

無数劫の
恒河沙の如きに於て
生まれては輙ち聾唖にして
諸根不具ならむ

常に地獄に処ること
園観に遊ぶが如く

余の悪道に在ること
己が舎宅の如く

駞驢猪狗
是れ其の行処ならむ

斯の経を謗するが故に
罪を獲ること是の如し

若し人と為ることを得ては
聾盲音唖にして
貧窮諸衰
これを以て自ら荘厳し
水腫乾痟
疥癩癰疽
是の如き等の病
これを以て衣服となさむ

身常に臭き処にして
垢穢不浄に
深き我見に著して
瞋恙を増益し

婬欲熾盛にして
禽獣を択ばず

斯の経を謗ずるが故に
罪を獲ること是の如し

舎利弗に告ぐ
斯の経を謗ぜむ者
若し其の罪を説かむに
劫を窮むとも尽きじ

是の因縁を以て
我故に汝に語る

無智の人の中に
此の経を説くこと莫かれ

若し利根にして
智慧明了に
多聞強識にして
聖道を求むる者有らむ

是の如きの人に
乃ち為に説く可し

若し人曾て
億百千の覚者を見たてまつりて
諸の善本を植ゑ
深心堅固ならむ

是の如きの人に
乃ち為に説く可し

若し人精進して
常に慈心を修し
身命を惜まざらむに
乃ち為に説くべし

若し人恭敬して
異心有ること無く
諸の凡愚を離れて
独り山沢に処せむ

是の如きの人に
乃ち為に説く可し

又舎利弗
若し人有つて
悪智識を捨てて
善友に親近するを見む

是の如きの人に
乃ち為に説く可し

若し聖子の
持戒清潔にして
浄明珠の如くにして
大乗経を求むるを見む

是の如きの人に
乃ち為に説く可し

若し人瞋り無く
質直柔軟にして
常に一切を愍れみ
諸聖を恭敬せむ
是の如きの人に
乃ち為に説く可し

復聖子の
大衆の中に於て
清浄の心を以て
種々の因縁
譬喩言辞をもつて
説法すること無礙なる有らむ

是の如きの人に
乃ち為に説く可し

若し比丘の
一切智の為に
四方に法を求めて
合掌し頂受し
但楽つて
大乗経典を受持して
乃至
余経の一偈をも受けざる有らむ

是の如きの人に
乃ち為に説く可し

人の至心に
聖舎利を求むるが如く
是の如く経を求め
得已つて頂受せむ
其の人復
余経を志求せず
亦未だ曾て
外道の典籍を念ぜず

是の如きの人に
乃ち為に説くべし

舎利弗に告ぐ
我是の相にして
聖道を求むる者を説かむに
劫を窮むとも尽くさじ

是の如き等の人は
則ち能く信解せむ

帰命頂礼霊法加持一切苦厄解除退散
惟神霊幸倍坐世
惟神霊幸倍坐世

・・・「人(霊止)還りの道」644編へつづく


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