「人(霊止)還りの道」620編


其方のネームは何と申すか

ハイ俺やア
鳶の弁造といつて世の中にチツとは男を売つたものでござんす
いかなる揉め事が起つても
この弁造さまが真裸となり
捻鉢巻をグツと締め「まつたまつた」とやつたが最後
鶴の一声
何でも彼でも水をうつたごとく
一度に納まるといふ男達でござんす
一体ここは何といふ所でござんすか
ヘン
お前さまらにメモアルを調べられるといふのは
根つから葉つから腑に落ちませぬワイ

ここは八衢の関所だ
ずゐぶんお前も現世において乱暴なことをやつて来た奴だから
この衡にかかれ
さうして地獄行きの方が下れば地獄行き
天国行きの方が下れば天国にやつてやらう

ヤア
有難テエ
地獄の釜のどん底でもビクともいたさぬ

根が狭客渡世兼鳶の親分だから
地獄行きが俺の性に合つてゐるでせう
どうか衡なんか面倒くせえことをせずに
すぐ地獄にやつて下せえな
天国なんか性に合はない
地獄には定めし喧嘩もあるであらう
また火事もあるであらう
その時は鳶の弁造が真裸となつて飛び込み仲裁をし
甘い酒でも飲むに便利がいい
喧嘩鳶の
グヅ鳶の
グレン鳶といはれて来た
チヤキチヤキの兄イだ

ともかく霊界の規則だから
この衡に乗つてくれ
サア早く

よし
番隨院長兵衛は柳の俎の上に坐つて
白鞘組から生きながら料理をされた例もある
俺達はその番隨院を理想とするものだ
何でもかまはぬ乗つてやらう
ちつとぐらゐ好いことがあつても
決して天国へやつてはいけないぞ

ハゝこいつは比較的善人だ
口で悪垂れを吐くが
善が半分
悪が半分
マアマアこれなら今日の娑婆では上等の部だ
オイ弁造
氣の毒ながら其方の望む地獄にやることは出来ぬ
さりとて天国にもやられず八衢人足だ
まづ暫し中有界で修行をいたしたがよからう
決して地獄行きなどを望むぢやないぞ
其方は審判の必要がない
これから西北の方をさして勝手に行け
また其方相当の相棒が待つてをるであらう

エゝ中有界なんて氣が氣かない
なぜ俺を地獄へやらないのかなア

・・・「人(霊止)還りの道」621編へつづく


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