「人(霊止)還りの道」619編


其方は高田悪次郎ではないか

ハイ
私は表善裏悪の張本人
世界一の富豪にならうと思うて
随分活動いたしました
しかしながら不慮の災難によつて
かやうなところへ迷ひ込み
まことに面目次第もございませぬ

その杖は鉄ぢやないか
左様な物を
なぜこんなところまで持つて来るか

これは鬼に鉄棒と申しまして
現界にをる時から
鬼の役を勤めてをりました
この鉄棒をもつて
すべての銀行・会社を叩き壊し
皆一つに集めて巨万の富を積んだ唯一の武器でございますから
こればかりはどこまでも放すことはできませぬ

この鉄棒はこちらに預かる
サア
キリキリ渡して行け

滅相もない
命より大切な鉄棒
どうしてこれが渡されませうかい

お前がこれを持つてゐると
伊吹戸主の審判に会うた時に
キツと地獄の底へ墜ちるぞよ
それで此処で渡してゆけといふのだ
さうすると八衢の世界へおいてもらふやうになるかも知れぬから

滅相もないことをおつしやいませ
そんな甘いことをいつて
泥棒しようと思うてもその手には乗りませぬぞ
この鉄棒はかうみえても二億円の価値はあるのです
この鉄の棒から生み出した二億円
いはばこの棒は二億円の手形のやうなものだ
何時地獄へやられても
これさへあれば大丈夫だ
地獄の沙汰も金次第
いかなる鬼も閻魔も
これにてたちまちやつつけてしまひ
地獄界の王者となる重宝な宝だ
なんといつても
こればかりは渡しませぬから諦めて下さい

サア
奥へ来い
その鉄棒は門内へ一歩も持ち込むことはまかりならぬぞ

ハゝゝゝゝ
冥土の八衢か何か知らぬが
体のよい泥棒が徘徊することだワイ
これは高田が唯一の武器だ
誰が何と申しても放しはいたさぬ
放せるなら放してみい
いかなる権力も神力も金の前には屈服いたさねばなるまいぞ

馬鹿者だなア
霊界において
物質上の宝がいるものか
金が覇を利かすのは
暗黒なる現界においてのみだ

それでも
地獄の沙汰も金次第といふぢやありませぬか

金をもつて左右いたすのは
いはゆる地獄の行り方だ

それ御覧
いづれ私のやうな者は天国へ行ける氣遣ひはない
生前より地獄行きと覚悟してゐたのだ
それだから
地獄へ行けば金の必要がある
何といつてもこれは放しませぬワイ

さうすると
貴様は天国よりも地獄が可いのだな

さうですとも
地獄の方が人間も沢山をるだらうし
金さへあれば覇が利くのだから
どうか地獄へやつてもらひたいものです
なにほど地獄だつて
二億円の金さへあれば何でも出来ますからな

さういふ不心得な奴に
金を持たして地獄へやることは罷りならぬ
ここにおいてゆけ

何といつても
こいつばかりは放しませよ

・・・「人(霊止)還りの道」620編へつづく


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