「人(霊止)還りの道」499編


将軍さま
あなたは軍人がお好きでござりますか
ただしは理想の女と民間に下つて楽しくお暮し遊ばすがお好きですか
承りたいものですな

ウン
俺はもともとお前の知つてる通り〇〇〇〇教の大神司兼大将軍だ
右の手に剣を持ち
左の手にコーランを携へて臨み
教を聞くものはこれを善人と見做し
教を聞かないものはこれを魔物と見做して斬り捨つるのが将軍の役だ
これくらゐ愉快なことがあらうか
将軍の権威をもつてすれば
何事も意のごとくならぬ事はないのだから
どこまでも〇〇〇〇教の神司将軍は止められないのだ
実に吾々の威勢は空に輝く日月のごときものだ
その方もわが前に近く侍り
実に光栄だらう

ハイ
光栄に存じます
しかし軍人といふものは
天下泰平の時には必要がないものですな
かういふ乱世になれば無くては叶ひますまい
その点になれば
軍人さまは国家の石柱
平和の守り神様でござります
しかしながら
あなたがたの神力と武力によつて世界が平定され
真善美の平和が建設されたならば
軍人はおやめになりませうな
いな
必要がありますまいな

ウン
それもさうだ
しかしそれはいふべくして行ふべからざるものだ
いたづらに高遠な理想世界を夢みたところで
所詮この世の中は戦ひの世の中だ
弱い者はたうてい頭の上がない娑婆世界だ
さうして不幸にして
世界が平和に治まり善人ばかりになつたら
俺たち軍人はサツパリ商売ができない
敵が現はれて各所に動乱が起ればこそ
俺たちの威勢も出るなり
また安楽に生活ができるのだ
世の中は善悪混淆だよ
芝居だよ
虚偽と罪悪とを擅にする世の中だ
よく考へて見よ
瀬戸物屋は瀬戸物の割れることを好み
坊主は死者の多からむことを願ひ
医者は病人の多からむことを望み
スパイは小盗人の多からむことを欲し
役人は罪人の最も多きをもつて自分の商売の繁栄として喜ぶのだ
なにほど三五の御教とやらが
この世の中を水晶にするといつても
五六七の世を建設するといつても
それは口先ばかりだ
要するに商売の能書だ
広告手段だ
お前もチツと時代に目を醒まし
社会の潮流に遅れないやうにしたがよからうぞ
これが人世の径路だ
さうして悪を喜ぶのは人間の本能だ
おのれを安全にし
おのれの幸福を得むとすれば
必ずや他を亡ぼし
他を圧迫し
他の利益を掠奪せなくちや
たうてい世に時めきわたり
貴人となり
富豪となり
紳士紳商となることは出来ない
チツと脳味噌の詰替へをしてやらなくちや
この陣中でも使ひやうがないわ

・・・「人(霊止)還りの道」500編へつづく


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