「人(霊止)還りの道」345編


神が表に現はれて
善と悪とを立別る
三五の教の神の道
人は神の子神の宮
とは言ひながら人の身の
いかでか神を審かむや
神はなほさら世の人の
善悪正邪が分からうか
身魂の因縁性来を
立別けむとする醜司
彼方こなたに現はれて
誠の道を蹂躙し
世を常闇と汚しゆく

三五の教はいふもさら
バラモン教やウラル教
教の道に仕へたる
神の司をことごとく
魂の御柱建て直し
五六七の御世を永久に
たてさせ玉へ惟神
慎み敬ひ願ぎ奉る

オイ
雪公
貴様は冷たい白い名だが
やつぱり酒を喰ふと体が熱くなり顔まで赤くなぬのが
俺や不思議でたまらぬワイ
それだから
化物の多い世の中といふのだよ

何が化物だい
世の中は凡てこんなものだよ
善悪一如・正邪不二・表裏一体だ
一羽の鳥も鶏といひ
葵の花も赤に咲く
雪といふ字を墨で書く
といふ歌を貴様は知つてるか
貴様の名は春ぢやないか
春公のくせにこの冬になつてゆくのに鼻を高うし鼻唄を唄ひ
はなはなしう朝から晩まで浮かれきつてゐるのが一体全体訳がわからぬ
貴様こそネツトプライスの正札の化物だ
いな馬鹿者だよ
あんまり他人のことを謗ると自分のことにおちて来るのを知らぬか
ちやうど空を向いて天に唾を吐いたやうなものだよ

何分遠い所だから
俺たち三人かうして毎日睾丸の皺のばしを安閑とやつてをられるのだ
他処の妻もちや遠山林
誰がかるやら盗むやら
とか何とかいつて
遠距離に居所を構へてをりさへすれば
少々の脱線も矛盾も無事通過するものだ
それだから俺は大都会にをるよりも
かういふ山奥の田園生活
オツト簡易生活をやつて自然を楽しむのだ
人間は自然の風光に接せなくちや嘘だよ
紅塵万丈
雑閙を極めた大都市に
煙突の煙を吸入して虚空如来のやうに燻つて
ブラブラしてゐるよりもなにほど愉快だが知れやしない
百年の寿命がかういふ所にをると
嘘八百年も延びるやうだ

うまいうまい
うまいのはこの酒だ
酒屋へ三里
豆腐屋へ一里
と人間は吐きよるが
至治至楽の簡易生活は自ら田を耕して喰ひ
自ら井を穿つて飲み
そこらあたり枝もたわわに実つてゐる果物を手づからむしり
手づから酒を造つて償翫するほど結構なものはない

仁ぢやとか
義ぢやとか
礼ぢやとか
そんな詐欺的言辞を並べて暗黒世界に住むよりも
山青く水清く
空高きこの山頂の四方を見晴らし
王者氣取りになつて簡易生活を続けてゐるくらい安楽なものはない
何せよ霊主体従だとか
慈悲ぢやとか
情とか
道徳とか
下らぬ屁理屈を囀つてゐるよりも
善悪を超越し
道理を通過して
惟神的に風光を楽しみ
安逸に一生を送るぐらゐ
利口なものはないワイ

煩雑な都会へ行つて
追従ダラダラ
虚偽ばかりの生活をするよりも
俺はこの簡易生活ばかりは何時になつても思ひきることは出来ないワイ

オイ
春公
毎日日日職務を忘れて
酒ばかり喰ひ酔ふてをると冥加が危ないぞ
いい加減に心得ぬと
習ひ性となり
放埓不羈の人間になつて
世の中の爪弾きものにしられていまふが
それでもかまはぬか
困つた奴だな

放埓不羈の極点に達した春公さまは
実際の事いへば
世間から爪弾きされて都にをるところがないので
あつぱれ貴様ら小人輩の了解すべきかぎりでないワイ
秋公は紅葉らしうして地に這ふて沈黙せぬかい

貴様にそんな忠告を受けなくとも
俺は故郷の女房のことを思ひ出して
花と月とに間違ふやうな女房もつ身の氣はもみぢ
といつて貴様のやうな唐変木とはチツと選を異にしてをるのだ
一ぺんも女に接した事のない酒喰ひの貴様に
浮世の味が分かるものかい
浮いては沈み沈んでは浮み
浮沈み七度の世の中だ
お前らのやうな連中さまは
酒より外に慰安してくれるものがないのだからな

・・・「人(霊止)還りの道」346編へつづく


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