「人(霊止)還りの道」326編


白髪の老人
「神地の都の城主サガレン王の後を襲ふて政治を執る竜雲とは其方のことか」
と雷のごとき大声を発して問ひかける
どこともなく底力のある声にさすがの竜雲も面喰らつて後ろへニ足三足タヂタヂとしりぞき
竜雲
「ハイ 仰せの通りの竜雲は私でござる あなたはこの竜雲に対し御訪問下さつたのはいかなる御用でござるか さうしてその御姓名は何と申さるるかお聞かせを願ひたい」

吾こそは三五の教の神使
天の岩戸開きの神業に仕へたる天の目一つ(アメノマヒトツ)の神でござる
汝に対し訓戒を与へたきことあれば
老躯ををかし遥々と此処に参りしものぞ

音に聞こえし天の目一つの神様でございましたか
これはこれは遠路のところ
ようこそ御入来下さいました
何卒何卒至らぬ竜雲
よろしく御指導をお願ひ申す

アハゝゝゝ
ずいぶん其方も外交的手腕は立派なものだ
よほど現代化してござるとみえる
しかしながら竜雲殿にお尋ね致したいことがござる
その尋ねたいと申すのは外でもない
サガレン王の今日の境遇だ
いやしくもバラモン教の教司
一国の王者の身をもつて
山野に流浪し給ふやうになつたのは
何かの理由がなくては叶はぬ
この経緯を詳細にわが前に告白されたい

ハイ
これには種々の訳もございまするが
あまり込み入つての御干渉は迷惑千万
何卒この話は打ち切つて
三五の教の教理を御教示あらむことを希望いたします

ハゝゝゝゝ
吾々の干渉地帯でないから問ふてくれな
と言はるるのかな
イヤ尤もだ
秘密の暴露を恐るるは人情の常だ
たつて辞退せらるるものを無理には強要いたさぬ
しかしながらよく考へて御覧なされ!
もしもここにある王者があり
その王者には后があつて
夫婦相並び神を敬ひ政治をとり
円満に民を治めてゐる
そこへ何処ともなく一人の妖僧が現はれ来たつて
その后を誑惑し
変つた信仰を強ひ
漸次にしてその后の心を奪ひ
つひには畏れ多くも夫たり国王たる神司を
妖僧と共に腹を合はして放逐し
後に晏然としてその后を妻となし
自らは王者然として控へてゐる悪逆無道の怪物ありとすれば
竜雲殿はいかが思召さるるか
神の教を伝ふる神司として
これが黙過することが出来ようか
いかがでござる
アハゝゝゝ
これは要するに譬でござれば
決してお氣にさへられな
竜雲殿の明敏なる頭脳によつて
その解決を与へてもらひたいのだ

六かしき問題だ
しかしどう解決をつけたらよいかと聞いてゐるのだ
イヤそこにうつむゐるのは姫殿でござろう
そなたの意見を承ろう

ハイ誠に恐れ入つた次第でございます
何ともお答へのいたしやうがございませぬ
あなたの御判断にお任せ申すより
もはや手段はございませぬ

今の中に心を改め
そなた両人が
計略をもつて遂ひ出したるサガレン王を探ね出し
茨の鞭を負ふて
王に心の底より謝罪をなし
その罪を清めなければ
天罰立所に至り
地震・雷・火の雨の誡めに遇ふはもはや眼前に迫つてゐる
両人早く決心をなさらぬと
そなたが身辺の危険は刻々と迫りつつありますぞ
いらざる目一つの神が差出口とけなさるるならば
それまでだ
目一つの神はこの上両人に対して忠告すべきことはない
よく良心に尋ねて
最善の方法を取られたがよからう
縁あらばまたもやお目にかからうも知れない
左様なら

三五の教に仕へたる
北光彦(キタテルヒコ)の神使
天の目一つの神司
神地の都に現はれて
心汚き竜雲・姫に打ち向ひ
悪逆無道の行動を
悔悟せしめて天国の
園に導き助けむと
奥殿に深く進み入り
両人へ真理を説き諭し
その改心を迫りおき
悠々として長廊下
コツリコツリと杖の音
次第次第に遠ざかり
いつのまにやら崇高な
神の姿は消えにける
神の御霊の幸はひて
醜の曲津も影隠し
天津御空のたまひたる
元つみたまに立ち帰り
神人和合の天国を
神地の城の棟高く
照らさせたまへ惟神
神のみ前に願ぎまつる

・・・「人(霊止)還りの道」327編へつづく


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