「人(霊止)還りの道」303編


若の浦とはその昔は豊見の浦と云ひました
神代の昔に国玉別が球の玉を棒じて樟樹鬱蒼として茂れる和田中の一つ島に稚姫君命の御霊を球の玉に取りかけ斎き祀つてより豊見の浦は若の浦と改称することになりました
そしてこの島を玉留島と名づけられました
今はこの玉留島は陸続きとなつて玉津島と改称されました

玉留とは
玉を固く地中に埋めその上に神社を建てて永久に守ると云ふ意です

神代の昔はこの辺は非常に巨大なる杉の木や楠が大地一面に繁茂してゐました
太い楠になると幹の周囲百丈余りも廻つたのがありました
そして杉もまた三十丈・五十丈の幹の周囲を有するものは数限りなく生えてゐました
自転倒島において最も巨大なる樹木の繁茂せし国なれば神代より木の国と称へられたゐました

大屋比古の神(オホヤヒノカミ)などはこの大木の股よりお生まれになつたと云ふことです
また木股の神(キマタノカミ)と云ふ神代の神も大木の精より現はれた神人です

近年は余り大木は少なくなりましたが太古は非常に巨大なる樹木が木の国のみならず各地にも沢山に生えてゐたものです
植物の繊維が醗酵作用によつて虫を生じその虫は孵化して甲虫のごとき甲虫族を発生するごとく古は大木の繊維により風水火の醗酵作用によつて人が生まれ出だことも珍しくありません
また猿などはずいぶん沢山に発生したものです

天狗を木精(コダマ)と云ふのは木の魂と云ふことであつて樹木の精魂より発生する一種の動物です
天狗は人体に似たものもありあるひは鳥族に似たものもあります
近代に至つても巨大なる樹木はこれを此の天狗の止まり木と称へられ地方によつては非常に恐れられてゐるところもあります
現代においても大森林の大樹には天狗の種類が可なり沢山に発生しつつあります

これらの事柄を現代の理学者や植物学者などは痴人の夢物語と一笑に付して顧みないでしょう
しかし天地の間はすべて不可思議なものです
到底今日のいはゆる文明人士の智嚢では神の霊能力は分かるものではないことをここに断言しておきます

秋もやうやく高くして
四方の山辺に佐保姫の
錦織り出し小男鹿の
妻恋ふ声を聞きながら
心あたふる夫婦連れ
国玉別や玉能姫
駒彦さまともろともに
あまたの信者に送られて
球の玉をば棒持しつ
再度山の山麓に
たちたる館を後にして
少しは名残を惜しみつつ
生田の森をくぐりぬけ
夜を日についで紀の国の
若の浦へと着きにける

・・・「人(霊止)還りの道」304編へつづく


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